札幌の巻 2001年12月6日〜12月12日

1. susieの苦悩

さて、仙台、福岡、京都ときて今年最後の出張は札幌である。前日に姫に「行くな」と言われていたので非常に気が重い。どたキャンは信用問題にかかわるし、貴重な収入も減る。世話になった方々の面子も潰したくない。だが、姫を泣かせたくもない。アニメ版『HELLSING』を見ながらデッドラインまで散々迷ったあげく、結局行くことにした。後押ししたのは「最悪の場合仕事を馘首になるかもしれない」という姫からのメールだった。やはり私が稼がねばなるまい。気も胃も足も荷物も何もかも重い。私は憂鬱な気分を抱え家を出た。決して『HELLSING』がつまらなかったからではない。いや、マジで。

搭乗手続きを済ませると羽田空港内でバスに乗りAir Doの駐機場へ。新規参入組みだから冷遇されているのだろうか。海を目前にしてバスは止まった。出発は定刻より少し遅れたがのジャンボ機は札幌へと出発。1時間半ほどで北海道の地が見えてくる。地面が白い。雪だ。当たり前なんだが。新千歳空港に着く。ぱらぱらと雪が降っている。北国に来たのだなぁとしみじみ思う。

仕事は明日からなので、まずは快速エアポートに乗って札幌まで出ることにした。前日の帰宅時間も遅かったのでホテルにすぐに入ってもよかったのだが、仕事は明日からだし、折角だからというので少し観光することにした。ほんとに行き当たりばったりだなぁ(笑)。

ふと見ると時計のバンドが切れかかっている。嫌な予感が過ぎる…。何事もなければよいのだが…。

2. 札幌の午後

ビックカメラで時計のバンドを換え、銀行で金を下ろすと札幌駅前通にある矢印に従って、赤レンガ庁舎へ。北海道庁の旧本庁舎だった建物だ。歩道に北海道開拓史のような案内板を読みながら、ビル街の中にぽっかり空いた空間へと進む。雪の中に赤い建物が現れた。他の観光客に混じって見学することにする。

ドアを開けると赤絨毯。まずはパンフレットを手にとる。庁舎の中の殆どは北海道立文書館として使われているようだ。展示室に入る。文書を通して見る蝦夷地・北海道の歴史が判る。北海道とその近辺の島々が現在我々が知っているようなものだと本土の人が判ったのは、19世紀前半の伊能忠敬、間宮林蔵、近藤重蔵、松浦武四郎による探検と測量のおかげだということ。松前藩が蝦夷地として支配していたのは函館とその近郊だけだったということ等々。まさに百聞は一見にしかず。2階にある開拓記念館を覗き、赤レンガ庁舎を後にした。

赤レンガ庁舎を出て北大植物園へ。北方民族資料館や日本狼の剥製があるという博物館も見学したかったのだが冬季は温室以外見学不可とのこと。残念。温室の説明書きを見ると熱帯の植物中心とあったので、見ずにその場を離れた。地元でも見られるようなものをわざわざ見ることもあるまいと。次は冬じゃないときに是非行くこととしよう。次への楽しみが出来たと思えばよし。

再び札幌駅前通の方に歩いていく。なにわ書店の看板が目に入った。本屋があると入りたくなるのはビブリオマニアの性。地図を見て今日からのホテルの位置を確認しなきゃと言い訳しつつ入ってみる。コミックのフロアにガンダム本が充実している。でも、全部持っているのばかり。『GUNDAM WEAPONS』とかのデータは前日に城の「図書室」に追加したばかりだしね。結局、文春新書の『司法改革』を買って店を出た。

その足で時計台へ。イメージとしては大きいものを想像していたのだが、思ったよりも小さくて驚いた。かの有名なクラーク博士が作ったのかと思ったら、その後任のホイラー博士の構想によるものだとか。見学して知ったことだが、新島襄や私の尊敬する新渡戸稲造らが札幌農学校の卒業生だったとは…。

さて、そうこうするうちに外はすっかり暗くなっていた。相変わらず雪もちらついているので宿へ向かうことにした。だが、ふと目を向けると闇夜に浮かぶ煌びやかな塔があるではないか。さっぽろテレビ塔だ。吸い寄せられるようにそちらに向かう。今回もお姉さん目当てではない(爆)。名古屋、京都とご当地タワーに 上ったからには札幌も行かねばなるまいと思ったからだ。っていうか、そういうことにしておけ。男同士の約束だ(笑)。 展望室はさほど広くない。というのは東京タワーを基準にして考えているからかもしれない。実は思っているほど狭くはないのかも。窓の外からは大通公園のイルミネーションが雪に映えて美しい。姫の卒論さえもう少し早く上がっていれば一緒に見られたかもしれないのに(私がそう思っているだけだが)。こんなに来るまでにもめずに済んだのにと、ぐじぐじと思い悩む。隣で甘い声を上げているカップルが憎い。血涙が流れそうなほどに。殺す。ぶっ殺す。スーパーぶっ殺す。必ず死なすと書いて必死などと、いちゃつく奴らに殺意すら覚える(笑)。自分がする分にはあんまり気にならないんだけどね(爆)。

3. ホテルまでは何マイル?

本日の宿は中島公園駅の近くだ。地下鉄の大通駅から南北線に乗って中島公園駅へ。出口を出たものの、すすきの方面に向かわねばならないというのに何を勘違いしたか豊平川を渡ってしまった。右手にキリンビール園が見えたからおかしいとは思ったのだが南大橋を渡りきってしまった。気づいたのは、川を渡って交差点の町名表示が南○西△というものではなくなったから。それで明らかに道を間違えたことに気がついた。慌てて橋を戻る。道が凍っているので欄干を伝いながら必死に戻る。きっと傍から見たら私の姿は腰が引けてさぞかし無様だったのではあるまいか。橋を渡りきって中島公園駅に向かうところは緩い坂になっている。行きと違って下り坂。道は凍っている。後戻りも出来ない。捕まる所もない。見事にすっ転んで尻を打った。この時に出来た痣がこの後暫らく寝る時の障害になるのであった(苦笑)。

気を取り直して駅前大通を札幌方面へと歩いていき無事に到着。大通駅やさっぽろ駅での南北線から東豊線への乗り換えは使ってみて不便そうだったので 東豊線だけで通勤することにした。そこで、明日から使う豊水すすきの駅までの道順を確認して今日はお終い。

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