日本沈没
小松左京原作の同名小説の映画化。
分厚い原作を基に、1973年製作の映画版、TV版、ラジオドラマ版(ニッポン放送版、NHK版)、漫画版(さいとうたかを版、一色登希彦版)とある中で、旧映画版大好きな樋口監督が挑んだものの空回りしっぱなしだったな。脚本がだめだからかもしれないが。
部分部分は、いいところもあるんだけど、全体としてみるとバラバラ。整合性が感じられないし、時間の流れも感じられない。とても劇中の時間が1年間経過しているとは思えない。日本を沈没させる科学考証はよかったけど、描写に矛盾があった気がするなぁ。脇役の演技(國村隼とかピエール瀧とか及川光博とか)はよかったけど、草磲剛はいかんなぁ。見所は、田所博士の猫と海洋研究開発機構の人たち(本職!)がしんかい2000を降ろすところ、地球深部探査船ちきゅうの稼動シーンかね。ちきゅうのプラモは出てないのかな。とにかく格好いいよ。
だいたい落ちが『マグニチュード10』と『新世紀エヴァンゲリオン』だよ。N2爆薬は、核より凄いらしいので、プレートをぶった切ることはできるんだろうけど、どうよ。
樋口監督には、旧映画版だけじゃなくて原作へのリスペクトも示してほしかったなぁ。
ところで、庵野監督夫妻は何処に出てたんだ?
ビッグコミックスピリッツで連載中の一色版日本沈没の方に期待だな。
東京大学地震研究所のサイトに、今作に製作協力している山岡耕春教授が中心に答えているコーナー、 「日本沈没」と地球科学に関するQ&Aコーナーというページが期間限定で作られている。
全般的に、内容的にはかなり丁寧かつ専門的に答えているが、「どうして(映画が)こんなにおもしろくないのか?」、「N2爆弾は、エヴァンゲリオンから得たネタなのうか?」というネタのような質問まで丁寧に淡々と答えているのが可笑しい。
(2006/09/01追記)