札幌の巻 2001年12月6日〜12月12日

9. 翔べ! 飛行機

すすきののサウナで1泊した。久しぶりに銭湯の湯船のような大きな風呂に入った。体の凝りがほぐれていく気がする。

朝起きると昨日と同じように雪がしんしんと降っている。今日も駄目だろうと思いながら行動予定を立てる。天気予報を聞いている限りでは、やはり今日も駄目そうだ。しかし、希望を捨ててはいけない。万が一のことを考えて空港に向かった。昨日は札幌駅で苦労したので今日は別な手段で空港に行くことに。電車だけでなくバスも動かなそうだったので、地下鉄で新札幌駅まで出て乗り換えた。だが、昨日よりも状況は悪い。札幌から電車がこないのだ。遅れは1時間。車内はラッシュアワーの電車のようだ。早く出てきたはずなのに空港に着いたのは搭乗1時間前だった。

空港のカウンターの電光掲示板を見ると欠航の文字が続く。朝から1便も飛んでいないようだ。空港には人が溢れ、ちょっとしたパニック状態になっている。昼の便は結局飛ばず19時半の便に変更なった。夜帰れれば水曜日の仕事は休まずに済む。あるいは、最悪水曜日の午前中ならギリギリ何とかなる。天気予報をにらみながら、じっと待った。だが、天候が回復する様子はない。

14時頃になって臨時便が飛ぶことが決定した。空港内に歓声と拍手が沸き起こる。しかし、そもそも千歳まで来た飛行機がないのだ。臨時便は各社合わせて3便が飛んだだけで終いになった。空港内に虚脱感が漂っていた。その後の便も全て欠航ということが早々と決定したため、今晩は千歳駅付近に宿をとることにした。

10. 脱出

12日の水曜日になってしまった。これ以上滞在を延ばすわけにはいかない。昨日と同じように雪は降り続いている。天気予報は今日の午後から晴れると言っている。しかし、木曜日からはまた天気が荒れるとも言っている。決断は昼までに下さなければならない。今日中に飛行機に乗れなければ電車で帰ることを心に決める。

ホテルをチェックアウトすると千歳駅へ向かった。空港行きのバスをホテルから出してくれるとのことだったが、電車の状況を確認したかったので千歳駅に向かう。電車の表示が出ていない。札幌行き、小樽行きは運休と出ている。運転している電車は全て各駅停車のようだ。通勤通学、それに私のように空港に向かおうとしている人たちが改札前に溢れていた。

ひょっとしたら苫小牧方面からの電車が動くかもしれないと思い南千歳駅まで出ることにした。苫小牧駅行きの普通列車が来た。隣の南千歳駅で降りる。札幌方面のプラットホームには北斗星が停まっていた。鮮やかな紺地の車体が美しい。いつかは乗ってのんびりと旅をしてみたいものだ。待合室で待機していると構内放送がかかった。空港に行くには他の交通手段をとってくれと放送があった。札幌駅のポイント切り替えが出来ないため電車の発着が出来ないらしい。新千歳空港駅にも電車がないため折り返し輸送すら出来ないようだ。

南千歳駅の出口には長い行列が出来ていた。運良くバスが来たのでそれで空港に着くことが出来た。着くまでに2時間弱かかった。カウンターの電光掲示には欠航と搭乗手続一時中止の文字が続く。今日も朝から1便も飛んでいないようだ。諦めては駄目だ。

そして、空が晴れた。北海道に来て初めて晴れた。

一気に空港内が動き出す。地方空港行きの便に欠航は出ていたが大都市に向かう便は離発着を始めたのだ。これで帰れる。カウンターで今日こそは飛ぶかどうか聞くと「大丈夫です」との力強い声。油断禁物だが、少なくとも状況は好転した。臨時便も飛び始めたので、消費期限の切れてしまった土産を買いなおす。

私の乗る便が搭乗手続き開始となった。出発ロビー内の売店でビールと弁当を買って食す。美味い。搭乗口が変更になったり定刻より遅れて出発したりとあったが無事に羽田着。普通に行くよりも少し早めに着いたくらいだ。東京の街の明かりが見えた瞬間「雪がない」ということに感動してしまった(苦笑)。 もう暫らくは雪なんて見たくないよ。

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