北海道横断(網走・層雲峡・札幌)の巻 2002年2月28日〜3月3日

4. 謎のオホーツク文化

カーテンを開けるとぴーかんのお天気。雪に反射してとても眩しい。朝だというのに昼のような明るさだ。さすがは晴女。しかし、晴れてていいのか。昨日の女満別空港の掲示によると流氷は暖冬のため沖合いに後退と出ていたぞ。心配していても仕方ないので、朝食を摂る。美味しいのでご飯をおかわりしてしまった(笑)。

荷造りをして、大浴場で寛ぐと出発。まずは、北方民族博物館へ。ホテルの正面にあったのだが、道がないので流氷館のところからぐるっと回って行った。ここは、東はグリーランドのイヌイト(イヌイットと習ったけどスペルはたぶん同じだろう)から西はスカンジナビアのサミまで、北方民族の文化を紹介する博物館なのだ。

まずは、如何にしてアフリカから人類は北方へと進出してきたかということをテーマに、衣食住についての展示を見た。アザラシの腸で作った防水服や魚革で作った服は驚嘆に値する。如何に少ない資源を有効に使うかに気を配っているかが解る。ところどころにモニターがあって、貴重な画像や動画があって展示物が実際にどのように作られたのか、食料をどのように加工していたのかなどが判って非常に勉強になる。

ついで、オホーツク文化の紹介ブース。恥ずかしながら、オホーツク文化とモヨロ貝塚というのは、今回初めて知った。6〜13世紀にかけてオホーツク海沿岸に栄えたもので、北海道ではモヨロ貝塚がその代表的な遺構なのだという。非常に謎が多いようで、先見の明のある研究者たちによって保存されてきたということだ。

今度は、マジックビジョンで18世紀のイヌイトの生活を見る。サッポロビール博物館でもあったが、なかなかまぬけなしろものだ(笑)。イヌイトの生活がということではなくね。だって、ジオラマと実写を組み合わせた寸劇なんですよ。これは、実際に見ないとわからないだろうな。その後は、精神世界や移動手段、遊び道具や工芸品を見て常設展示はお終い。どの展示も素晴らしく、驚くことばかりであった。

企画展としては、「北の古代世界 擦文文化の頃」というのをやっていた。続縄文文化の後に現れたもので、7〜13世紀にかけて北海道を中心に展開した文化のようだ。これとオホーツク文化が交じり合ってアイヌ文化へと発展したということらしい。知識として、北海道では弥生文化が伝播しなかったと知っていたが、土器などの実物を見ると本州とはかなり違うのだと解る。「騎馬民族論」のことを思い出した。確か本が家にあったはずなので帰ったら探してみよう。

5. オホーツクの風

バスに乗って網走駅で降りる。土産を買って、バスセンターへ。網走ビール館に寄りたかったが、時間はなさそうだ。コンビニで酒とポテトチップスを買うとすぐ横を砕氷船ターミナル行きのバスが通り過ぎていく(爆)。時間が近いのでタクシーをつかまえ無事に砕氷船ターミナルに到着した。

窓口で乗船券を引き換えようとすると、本日は流氷がないので遊覧となると言われてしまった。悪い予感的中。お詫びの品でテレホンカードをもらっても…。しかし、せっかくなので荷物をコインロッカーに放り込んで「おーろら2」号に乗り込んだ。

コバルトの海を船はゆっくりと進む。鴎が風に乗り船と併走している。沖合いには白いものがちらつく。それが波頭なのか流氷なのかは判らない。後方を見ると山の上に流氷館の展望台が見えた。それにしても船の上は寒い。タートルネックのセーターにネルシャツ、フリース、グラウンドコートにマフラー、毛糸の帽子に厚手の手袋、カーゴパンツと完全防備で臨んだのに寒い。頬がぴりぴりする。まさに「鼻がちぎれそうっ」。姫の方もゴマちゃん帽子を被って気合充分。とても可愛くてくらくらしそう。

流氷 暫らくすると小さな白い塊が見え始めた。流氷だ。海の上に氷が浮いている。かなり大きいものも見える。水面下にも白いものが見えるところを見るとかなり大きい塊なのだろう。鳥肌が立ったのは、船上の寒さだけではないはずだ。見飽きることがない。実際に海の中に潜って下まで見てみたい衝動にかられる。ウエットスーツを着たりして、防寒対策をしっかりやらないととてもじゃないが見られないんだろうけど。流氷館で流氷の音や海の中から見た風景を見聞しているだけになおさらそう思う。姫が沢山写真をとっている。姫はどんな視点で見ているのだろう。早く見てみたいものだ。

ふと見ると、奥には知床半島が見える。半島の形がぼんやりとだが判る。鴎の数が増えてきた。餌をやろうと菓子を上に差し出している人に向かって鴎は果敢に迫っていく。風に乗って飛んでいるせいか、なかなか取れないようだ。だが、鴎がいっせいに飛んでいるところはヒッチコックの「鳥」を思い起こさせる。気がつくと能取半島が見え、砕氷船ターミナルへと戻ってきた。時間にすると1時間程度だったが、すごく短く感じられた。

6. 層雲峡へ

さて、ホットミルクを飲んで土産に念願の網走ビールを買うと、今度はバスで層雲峡へと向かうことに。いきなり乗車名簿に名前がないのが気になるが、層雲峡に向かうということだし、バスの名前もチケットに書いてあるのと同じなので、ガイドさんに名前を告げて乗り込む。

程よい暖気のせいか、バスが走り出すと姫は早くも寝てしまった。網走刑務所を右手に国道39号をバスはひた走る。北見を抜けて瑠辺蘂へ。温根湯道の駅で一度休憩をとる。売店でラベンダーのミックスソフトを買って姫と分けて食べた。再びバスは層雲峡へ。国道最高点の石北峠を越えて、大函・小函を通って無事到着。

石狩川沿いが今日の宿。荷物を解くと、ベッドに押し倒された(笑)。足をむんずと掴まれて、跖をぐりぐりと棒で押される。昨日もされたが、相変わらずメチャメチャ痛い。それだけ体が悪いということか。互いにマッサージをしあった後で、晩飯を食べる。量も沢山、味も美味。姫が食べられない分のご飯まで食べてしまった(笑)。

氷瀑まつりの会場が近いというので観に行く。ホテルから見えていたのはまつりのライトアップだったのだ。氷瀑というだけあって、入口からして氷の階段だ。ゆっくりと会場に下りる。姫は友人から貰ったという滑り止めをつけていたので、私も売店で滑り止めを買って付けた。雪と氷で作られた大小の城や回廊などが並び、色とりどりのライトで照らされ幻想的な風景だ。後でホテルの人に聞いたら、町の人たちで2ヶ月近くかけて作ったものだという。一通りまわると姫が片方の滑り止めをなくしたという。捜したけれど見つからなかった。途中でとれてしまったらしい。誰かが拾って持っていってしまったのだろうか…。第2会場の方に行くと私たち以外に誰もいなかったので、一周して部屋に戻った。

浴衣に着替えて、温泉に入る。暫らくして入ってきた人が女湯で人が倒れたらしいと話していた。部屋の鍵を持っていたので、早めに出て待っていたが、なかなか姫が帰ってこない。結局、1時間半ほどして帰ってきた。泥酔した人が風呂場で倒れて大変だったようだ。愚痴を聞きつつ、網走ビールで酒盛りをして明日に備え、おやすみなさい。

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