京都の巻 2000年5月19日〜5月21日

8. 二条城に立つ

今回は、前回の名古屋のときと異なり、午後から出勤というわけにはいかないこともあり、早起きしてお粥を食べ、荷物をまとめると二条城へと向かった。やはり一国一城の主としては、当地の城は見ておかねばなるまい。世界文化遺産にも登録されたことだし。

さすが修学旅行のメッカだけあって、開門時間には、すでにここも中学生でいっぱいであった。その人波を掻き分けて、入場券を買う。二条城は、慶長8(1603)年に徳川家康が将軍の居館として、また、儀式の場所として造営したもので、徳川慶喜による大政奉還が同城でなされるまで、徳川幕府の西日本最大の拠点であった。見学者はいるのだが、城内は静かだ。門前に交通量の多いとおりがあるのだが、その音も殆ど聞こえなくなる。危ない危ない。危うく仕事をする気が失せるところだった。順路を辿っていくと、普段は公開されていない本丸御殿を公開しているという。早速見学に行く。見学するのは今日が初めてだ。

現在の御殿は、江戸時代からあったものではなく、明治26〜27(1893-94)年にかけて今出川御門内にあった桂宮邸を本丸内に移築したものだという(建物自体は弘化4(1847)年に出来た)。当時の趣向などがわかって大変趣き深い。

9. 川を渡って神社を抜けて

二条城前駅から地下鉄東西線に乗って東山駅へ。目指すは、京都市美術館。大森玲子似の女の子が一緒に降りたので道を聞くふりをして云々と考えたが、うちの彼女の怖い顔が浮かんだのでやめた(笑)。ばれたら一生言われそうだし…。駅を降りて小さな川沿いを歩く。涼やかな風が心地よい。

平安神宮の最初の大鳥居を抜けると、道路をはさんで右手に京都市美術館、左手に京都国立近代美術館である。近代美術館の方では、粟辻博展をやっていたが、時間の関係でやめる(泣)。時計を睨みつつ京都市美術館へ。同美術館は、改修工事中で、京都市美術館コレクション展も前期と後期でかなりの数の展示が変わるという。今回は、その前期の最終日に立ち寄ったことになる。見学者は、私以外におらず貸切状態。至福の時間である。

国立近代美術館があるせいか、収蔵品には戦前の作が多いようだ。展示は絵画のみならず、磁器や漆器など多岐にわたっていた。その中で目についたのは、木島桜谷の「寒月」、浜田観の「午の花」、伊藤久三郎「合歓の木」、伊東翠壷「磁、方円菱花文花瓶」らであった。「寒月」は、雪の竹林を狐が行くという絵なのだが、モノトーンの中で狐だけが色付きなのだ。それが何ともいえぬ情感を醸し出していて今でも鮮烈に脳裏に焼き付いている。仕事さえなければ、もう少し滞在して、後期の展示も見に来るのにと悔しがっても仕方ない。みんな貧乏が悪いんじゃ…。

長岡天満宮の本殿が元々あった平安神宮へと向かう。さすがに観光客も多い。交差点をはさんで大鳥居の奥に社殿が見える。仕事に遅刻するわけにもいかないのでまっすぐ本殿に向かい参拝を済ませると今日の仕事場へと向かった。

10. 強襲、帰宅限界点

昼は、吉野山でとることに。市内にこんなに広大な緑が残っているというのが素晴らしい。弁当を作ってきたかいがあるというものだ。弁当とはいっても、食パンにコンビーフとサラダを挟んだだけのものだが。

さて、午後の仕事も終えて、帰路につく。明日は、東京でまた仕事なのである。金曜日に休みを取ってしまったのだから仕方ないか(苦笑)。

新幹線の時間まで間があるので、京都駅で気になっていたところに行くことにした。それは、KYOTO手塚治虫ワールドだ。入口のところにある等身大アトムとサファイアと並んで写真を撮りまくっている外人さんが微笑ましい。ここは、小劇場とグッズの販売店があるだけなのだが、宝塚の手塚治虫記念館以外では、ここでしか買えないものもあるとのことなのだ(東京にもこういうところが最近出来たらしいがよく知らない。判ったら行ってこよう)。その小劇場では、アニメシアターということでジャングル大帝の新作を見せてくれるという。上演時間までミュージアムショップを覗く。Tシャツにしても何にしても、どれも欲しくなってしまう。結局、ひょうたんつぎの根付を買うことにした。奴は、今、私の携帯電話にぶら下がってぶーたれている(笑)。

その隣には、ミニライブラリーとして、講談社の手塚治虫全集400巻が置いてあった。漫画の神様手塚治虫の名を冠するからには、現在手に入る各社の単行本を各種そろえてもらいたいものだと思いつつ、『三つ目が通る』や『未来人カオス』を見つけ嬉しくなる。

時間になった。最初に六面マルチシアターで手塚の生涯についてのフィルムを見せられる。どうも「紙の砦」を元にしているようだ。手塚がヒューマニストであったということを言いたいらしいのがちと不満。続いて300インチシアターに移る。スクリーンのほかに、噴水などの特殊効果が仕掛けてあるのがわかる。最初は、「ジャングル大帝」。クレジットが出なかったのではっきりしないが、かつてTVアニメとして放送されたものとは声優が違うようだ。未見だが、最新の映画版と同じなのだろうか。続いて、「本能寺の変」。有名なこの事件を短編アニメにしたものだが、むぅ、これが手塚とどういう関係が…。絵柄も何か違うし。アニメの方は、全般的にしっくりいかなかったなぁ。これで入場料400円は、高い気がする。

ぶつくさしながら、地下街へ行き、彼女と実家への土産を買うと新幹線に乗り込んだ。今回の京都の旅はこれで終わり。京都は、何度行っても行き足りない。今回も過密スケジュールの中ではあったが、いい旅であった。もっとも、これで暑くさえなかったらなおよかったんだが…。(^^;

京都府観光連盟京都ガイドブック

戻る
退室