連邦軍におけるザク系のMSとは別に、一年戦争およびデラーズ紛争後、アクシズに移住した技術者たちによってもザク系MSの生産、製造は続けられた。
もともと、「アクシズ」
[1] の主力機は、作業用の機体を改造したものから派生したガザ系MSと一年戦争時のMS群であり、本格的なMSの生産は行われてこなかった
[2] 。しかし、デラーズ紛争後、ジオン公国の再興を掲げて「アクシズ」が、再度地球に侵攻する
[3]にあたり、0084年頃からガザ系とは別に、戦力増強のために、生産数自体は多くないが、本格的なMSの製造を開始した。
その第1号機として造られたMSがAMX-101 (ガルスJ) である。ザク系MSで06Rと性能でトップの座を争うと言われたMS-11をベースにミサイル・ポッドやフィンガー・ランチャー等の火器を搭載し、機体自体の攻撃力向上を計っている。
試作機の段階では、いわゆる第1世代MSがベースとなっていたため、所定のデータを出すことができず、「アクシズ」の第2次防衛力強化計画は頓挫するかに思われた。しかし、計画の練り直しが行われる直前に、地球圏より戻った技術者がAEから入手した連邦軍MSのデータを導入、不完全ながらも、ムーバブルフレーム、全天周囲モニター方式のリニアシート等を加えて再設計を施した。
汎用機の母体として開発されたMS-06が固定兵装を持たないのに対し、旧ジオン軍とMSの運用方法が異なる
[4] 「アクシズ」では、ガルスJも固定兵装を搭載の上外部兵装を選択することとなった。
しかしながら、新世代のザクとしての期待を集めたものの、ガルスJは思った以上の成果をあげることができず、主力機の座を射止めるまでには至らなかった。
[註]
- [1]
- 本来であれば、ネオ・ジオンと書くべきであるが、シャア・ダイクンの組織も第2次ネオ・ジオン抗争の際に、「ネオ・ジオン」を名乗っているため、便宜上本書では、第1次抗争の際のネオ・ジオンを彼らが当初名乗っていた「アクシズ」と表記し、第2次抗争の際のネオ・ジオンを「ネオ・ジオン」と表記して区別することにした。
- [2]
- 1年戦争時の在来機に360°全天周囲モニター方式リニアシートを組み込むなどの改修は続けられていた。アクシズにおける新規改良型としては、MS-14FやMS-17B等を改良したバリエーション展開が見られる。
- [3]
- 彼らは、自軍以外の全ての人類を敵として憎悪していたとしか思えない所があった。彼らにとっては、アステロイドベルトへと追いやった人類全てがジオン・ダイクンの仇のように思えたのだろうか…。彼等が「ネオ・ジオン」へと変質していく過程は『検証 ジオン独立戦争とは何だったのか』(アルフレド・ミドガルド、バスコニルパブリケーション社(0120))等に詳しい。
- [4]
- ガルスJは、どちらかというと後方支援用のAMX-102(ズサ)系と組んで拠点防衛用として運用されているこが多いことから、運用方法は連邦軍のそれに近いと言えよう。兵士の練度の問題などから考えても「アクシズ」の方策は正しかったと言えるのではなかろうか。