最後までビーム兵器を標準兵装とできずMS-14系にその座を譲ったザクであったが、交換兵装を自由にした通常型MSの集大成として、「アクシズ」は、再びザクに着目した。かつての名機MS-06の操縦性等を受け継ぎ、かつ、各形態に換装可能な素体としての汎用MS[1]、ザクの復活である。
また、「アクシズ」の0系列MS開発チームにしてみれば、ザクを受け継いでいるとはいえ、やはりガルスJを認めたくなかったのであろう。ジオンの象徴としてのザクのニード、技術者たちの思惑その他様々なものが合致した時、ザクIII開発プロジェクトは始動しはじめたのであった。
国力で圧倒的に地球連邦に劣り、かつ、旧大戦時の旧式MSや、員数集めのガザ系列MSで若手パイロットを育成し、地球圏に戻る日のために軍備増強を続けていた「アクシズ」にとって、ザク型MSは、ジオン公国再興の証として必要不可欠のアイテムであったのだ。
ジオンのステイタスとして、名機MS-06の真の後継機種ともいうべきAMX-011 (ザクIII) は、ザクII誕生以来約10年を経て誕生した。MS-14、17を経た重戦用MSとしてのザクである。正にジオン純正ザクの復活であった。
ザクIIIは、連邦開発のRMS-106、108と異なりジオン純血[2]のザクとしての期待を込めて開発された。固定兵装として前部スカートにメガ粒子砲を2門装備、命中精度の向上を計るなど、信頼性の高い機体を目指したが、ザクIIIの本格的な量産計画は、ついに日の目を見ることなく廃案となった。しかしながら、熟練パイロット等でザクIIIを乗機として申請し認められた者に対しては、旧大戦の06Rタイプのように受注調整して引き渡された[3]。
かつてのジオン公国以下に工業生産力の低下した「アクシズ」が、ティターンズをはじめとする地球圏の異常とも思えるMS開発競争に追いつくことは容易ではなく、多数の局地戦用MSを生みながら、結局、本格的な汎用主力量産機としてのザク型MSは開発されることはなく、第1次ネオ・ジオン抗争は終結した。
この時期、MSはそれまでにないほどの多種類の機体が生み出された。試作機や量産機の局地戦用バリエーションを加えると軽く数百を越える機種が戦場に送りだされていたといっても過言ではない。機体の種類の多さに相まって、局所的な戦いが各地で繰り広げられた。大量量産機でない機体どうしの戦闘が、この時代のMSを非常に象徴しているといえよう。